年始初めの研修会が終わってから、早いものでもう3週間。
あっという間に1月も終わりに近づいてきてしまいました。
今日は、1月6日の研修会で参加者の方から頂いたご質問をきっかけに、私たちメンバーが話し合ったことについて、ここに書かせて頂こうと思います。
話し合いのきっかけになった、研修会参加者の方からのご質問は、こういう内容でした。
”(紙芝居の「おとこのこ、おんなのこ」の話について)いまは、必ずしも体の性別と心の性別
が一致しなかったり、男女で分けられる性ではないような色々な子がいると思うの
ですが、そういう子がいる時に、お話会をするときはどうしたらいいですか?”
言葉はそのままではないですが、こういった内容のこと。
このご質問に対して、からだフシギのメンバーであり、幼稚園教諭をされていた渕さんが、”「みんなちがって、みんないい」という言葉がある通り、からだには一つ正解があるわけではない。人と違っても、個性の一部として捉えてもらえればと思う。”といったことを、答えてくれました。
確かにそうだなと私も思います。「みんな違って、みんないい」。金子みすずさんの言葉は、名言だなと改めて思います。
また、このご質問を頂いた時、私は、以前お話会で会った女の子から聞かれた質問と、そこでのエピソードを思い出していました。それは数年前に、私たちからだフシギのメンバーが公立図書館に出かけて行って、体のお話会をしたときのこと。
その日の体のお話の内容は、「骨と筋肉」でした。
お話会が終わって子どもたちが帰る準備をしていたとき、お話会に参加していた5,6歳の女の子が、じーーっと私の顔を見てきました。私は顔に顔面神経麻痺の症状があって、顔の半分が動きません。顔を動かしたり笑ったりすると、動かない左側が動く右側に引っ張られるので、顔が歪みます。以前から、電車などに乗っていると子どもからじーっと見られることはよくあったので、そんな子どもの様子には慣れていました。
お話会の後、私の顔をじーっと見ていたその女の子は、しばらくしてから私に近づいてきて、「変な顔」と言った後、「どうしてそういう顔なの?」と聞いてきました。
私は、「どうしてだと思う?」と、質問に質問で返してしまいます。
するとその子は、しばらく考えた後、「きんにく、ないの?」と言いました。
この日のお話会でとりあげた「骨と筋肉」の話しの中には、「笑った顔も、怒った顔も、筋肉があるからできるんだよ」といったことが書かれています。この女の子はそのことをしっかりと理解していて、私の顔が歪むのは、筋肉がないからだ…と考えたようです。
私はそのあと、「筋肉はあるんだけどね、病気で筋肉が半分動かなくなっちゃったの。」と答えたら、その子は「ふーん」と、納得してくれたようでした。
私は、自分の顔のことを言われながらも、この女の子の反応を、とてもすごいなと感じていました。何がすごいと思ったかというと、それは二つあります。
まずひとつは、女の子がお話会に参加して、顔が動くのは筋肉のおかげだということについて、ちゃんと分かったという理解力を持っているということ。
もう一つは、私の顔を見て、みんなと違うから「変な顔」と思ったけど、どうしてそうなっているのかを考えたとき、”顔が動くのは筋肉があるおかげ”という知識を持っているから、”筋肉がないからこういう顔なんだ”と、自分で考えたということです。
これはもう3,4年ほど前のことで、おそらく質問してくれた女の子ご本人も(いまは小学生でしょうか?)覚えていないようなことかもしれません。それでも、体の知識を持つことが、人との違いを理解するひとつのきっかけになる…そんなことを教えてくれたエピソードのように感じられて、私には、とても印象的な出来事となりました。
先日の研修会で、冒頭のご質問を頂いた時も、このエピソードを少しだけお話させて頂きました。
体はよく見るとみんな一人ひとり違います。目の大きさも、鼻の高さも耳の形も、ほくろの位置も違います。指の形も、肌の色も、よーく見たら、みんなみんな違います。
体の中のように外から見えない場所も、心のように見えない部分も、もともとみんな違っています。
頂いたご質問について、後日メンバーで話をした時、私たちがお話会で伝えている体の話しは、多くの人がそうであるという、ごく一例にすぎない、ということを改めて確認しました。
体のお話をするときは、これが正解だという伝え方ではなくて、紙芝居や絵本に出てくるのは一つの例で、一人一人をよく見るとみんな違う・・・・・。
そういう考え方を持って、お話会を行っていけたらいいという話にもなりました。
私もこれからは、この考え方をより意識して、お話会を行っていきたいと思っています。
今回は、研修会で頂いた一つのご質問から、自分たちの活動の方向性について、改めて気づき、振り返る機会を頂きました。どうもありがとうございます。
ぜひ今後も、ご質問やご意見などをたくさん出して頂いて、みんなで一緒に、子どもに体を伝えることについて考えていけたらと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
NPO法人からだフシギ 瀬戸山陽子
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